2021.12.08
(めろんNo.171掲載)
秋の多文化ボランティアセミナー報告
2021年10月16日開催
身近なワクワクの作り方~自分の町はもっと楽しくなる!~
講師:森本アリさん
「旧グッゲンハイム邸」の管理人と音楽家という2つの顔を持つ森本アリさん。講演のはじめに、口琴や風船を使った楽器を演奏してくださった。なんともユニークで綺麗な音色が部屋中に響き渡り、すっかり魅了された。
「旧グッゲンハイム邸」は神戸・塩屋の海の近くに位置する。明治大正期に神戸に滞在したドイツ系アメリカ人の貿易商の家族の別邸として使用されたという。長年、塩屋の風景の一部として地域の人々に愛されてきたこの施設は、現在では、コンサートや結婚パーティーの会場として使われたり、ヨガ教室が開かれたりと、人々の憩いの場として活用されている。
森本さんが力を入れる取り組みの一つに「シオヤプロジェクト」がある。海と山に囲まれ、狭く細い路地が続く塩屋のまちのユニークなモノ・コトを発見し、面白さを共有しようという取り組みだ。講演では、塩屋の風景や人々の表情が映し出された写真がいくつか紹介された。バス停に不揃いのいすが並べられていたり、石段のすきまが自転車置き場として活用されていたり…、日常的な光景なのにどこかクスッと笑える。スクリーン越しでも、塩屋の魅力が伝わってきた。
お話の中でも特に面白かったのが、「しおや歩き回り音楽会」だ。イベントの内容を動画付きで紹介してくださった。参加者が列をなして町中を歩き、行く先々では様々な楽器を持った演者が音を奏でる。民家のベランダから突然演奏が始まったりと、人々を惹きつける仕掛けが次々に披露された。演者はみな、塩屋に住む人たちだという。子どもからお年寄りまで世代を問わず、参加者全員で盛り上がる光景が印象的だ。
いつものボランティアセミナーとは打って変わって、会場全体がわくわくした雰囲気に包まれる異色のセミナーとなった。講演中、森本さんが繰り返した「既にあるものも見方を変えたら面白い」という言葉が胸に響く。まちにあふれる沢山の魅力を地元住民で探し、最大限楽しむ。この姿勢は塩屋のみならず、私たちの住むまちにも通じることかもしれない。(中島)