(公財)箕面市国際交流協会MAFGA

2021.12.08

セミナー報告「多様性社会の作り方 ~身近な人にどう働きかける?~」 北川知子さん

(めろんNo.171記載)

秋の多文化ボランティアセミナー報告
2021年10月9日開催

多様性社会の作り方 ~身近な人にどう働きかける?~
講師:北川知子さん

 NPO法人とんだばやし国際交流協会の理事長である北川さん。身近にあふれる「差別」に対して、自分自身にできることを考えるワークショップが開かれた。

 まず、「差別のピラミッド」についての説明があった。ピラミッドの頂点にはジェノサイド(大量殺戮)、その下にはヘイトクライム(刑法に触れる行為)、ヘイトスピーチ、レイシャル・ハラスメントが続く。そしてピラミッドの最下部には、マイクロアグレッションが位置する。これはステレオタイプに基づく言動のことであり、他の4つとは違い、発言者には相手を差別したり傷つける意図はない。ステレオタイプは社会的に広く持たれている意識であるため、自覚しづらいという。まずは自分自身が知らず知らずのうちに持っているフィルターに気付くことが大切であることを学んだ。

 次に、「わくわくする」「腹が立つ」などのFeeling(気持ち/感情)を表す言葉と、「自由」「受け入れられること」などのNeeds(自分がどうしたいのか/どうしてほしいか)を表す言葉が並べられたリストを使って、グループワークを行った。ワークを通して学んだのは、一人ひとりが感情を抱く背景には、必ず何らかのニーズがあるということ。自分自身や相手の本当の感情を理解するためには、対話を通してニーズを汲み取る姿勢が重要だと感じた。

 続いてのグループワークは「こんなとき、あなたならどうする?」。日常生活でのモヤっとした発言や出来事について、自分たちにできることを話し合った。
例えば、海外ニュースを見ながら「〇〇って、怖い国やねえ。日本人でよかったわ」という友人や家族の発言を聞いたとき、どうするか。参加者の中からは、「正直、モヤモヤするけど言い返す勇気はない」という声も挙がった。しかし北川さんは、言い返さずとも相手に気づきを与えることは可能だと話す。例えば、「いま、…って言った?」「なぜそう思うの?」と聞き返す方法や、「日本って地震とか台風が毎年あるし、怖い国よね」とミラーリングする方法。そして「私はそうは思わない」と自分の立場を明らかにすることで「境界線を引く」方法などがある。
 筆者自身、目の前で差別的な会話を聞いた際に、ついその場をスルーしてしまった過去を思い出した。次にそのような場面に出くわした際には、今回学んだ「とっさの一言」で対応できるようにしたい。(中島)