(公財)箕面市国際交流協会MAFGA

2022.03.10

外国人防災アドバイザー活躍中!

2020 年度箕面市「外国人防災アドバイザー」に認定された 5 名。(写 真左から二人目から)中国留学生の余菁華さん、ベトナム出身のシチ・ ゴック・トゥエットさん、イラン出身のアリプル・レイラさんとジャ ヘドザデ・ショルブラグ・ベヘナムさん、韓国出身の裵恵麟さん



(めろんNo.170記載)

1. 「外国人防災アドバイザー育成事業」について
 日本は災害大国と言われている。他国と比べて、地震、津波、火山噴火、大雪、大雨、洪水、土砂災害、台風などの自然災害が発生しやすい国土である。そのため、子どものときから学校や地域で避難訓練が実施され、そこで防災に関する知識や技術を学び、啓発が行われている。また、外国人市民と比べて災害情報へのアクセスもしやすい。
 しかし、外国人市民はそれぞれの国土の特徴や文化的および社会的背景によって、災害に関する認識や捉え方が異なる一方、日本における災害リスク、防災体制や仕組みについての知識を得る機会が少ない。さらに、普段から地域との繋がりが希薄な外国人市民は言葉の壁をはじめ、色々な課題を抱えながら暮らしているため、彼らに伝わらないことが多い。このような状況から協会は去年より「外国人防災アドバイザー育成事業」を始めた。
 災害に遭遇したとき、目の前の状況に対して適切に行動し、想定外の事態から自分自身を救う能力を持つ外国人市民を市内全体で増やすことが目的だ。

2. 箕面市「外国人防災アドバイザー」とは
 防災研修の受講および防災訓練の参加後、防災セミナーや企画などの実施に主体的に取り組むことができる外国人市民が対象で、研修の終了後に、箕面市より「外国人防災アドバイザー」として認定される。
 2020 年には、箕面市市民安全政策室の職員や人と未来防災センターの研究員の楊梓さんを講師として招き、箕面市の災害リスクや防災体制、災害情報発信の仕組みについて学んだ。また、避難の判断や箕面市での避難所の運営等について知り、【My 避難行動ワークショップ】を通して、自分を主人公とする災害発生時の物語を時系列に沿って記述し、災害時のアクションプランを形成した。
 2021 年には、5 人の外国人防災アドバイザーが日本社会で暮らしていくなかで日ごろ感じている疑問や困りごとなどについて話し合いながら、防災・災害に関する知識を身に付ける機会を外国人市民にどのように提供すればよい
かについて議論した。
 結果、彼らは研修で得た知識をもとに、災害に対する備えとして①停電と発電機の利用、②防災グッズの紹介と利用、③非常食の紹介というテーマで日本語教室の学習者を対象にイベント実施を予定したが、緊急事態宣言のため実施が難しくなった。そのため、同じ内容で外国人市民にわかりやすく防災啓発用動画を作成している。
 ベヘナムさんが停電の不安と自分の経験、停電になると何に困るか(携帯、トイレ、冷蔵庫など)、蓄電池と発電機について日本語とペルシャ語で紹介している。裵恵麟さんが防災グッズや普段の生活の中で少し工夫してできる「防災」について日本語と韓国語で紹介している。アリプル・レイラさんが長期間保存できて、災害の時に、簡単に食べられるアルファ化米やパンなど「非常食」について日本語と英語で紹介している。また、ドライフルーツや缶詰めなど母国の保存食についても紹介しながら、日常で使用し、災害時にも食べられるものを「ローリングストック」して備えることの大事さを教えてくれた。
 今後は動画を日本語教室などで上映していく予定だ。

3. 「外国人防災アドバイザー」への期待
 地域の一員である外国人市民が災害発生時にも、地域の人々と助けあうことができる仕組みづくりが大切である。外国人防災アドバイザーの取り組みを通して、防災意識の高い外国人市民が増えることが期待できる。さらに、自分のコミュニティや周りの人と知識や情報を共有していくことによって、まず箕面市全体に「自助」ができる外国人市民が増えることをめざす。外国人市民が少しずつ地域につながることができれば、「共助」の土台ができると期待する。(バイサ)